長崎県の自然環境(概要)
日本の西の端に位置する長崎県は、無人島まで含めると東西213km、南北307kmにもわたり、この中で散在する大小600近い島々、それに九州本土という観点からすると小さな岬や半島部にしかすぎないような陸地によって県土が成り立っています。
そのため、陸域の総面積は約4,000平方kmと比較的小さな県でありながら、県域としては九州本土の大きさにも匹敵する広がりがあります。
本県の陸域部は急峻で起伏に富んだ山地が大半を占め、そのまま海岸まで迫っていることで、複雑に入り込んだ溺れ谷景観(リアス式海岸景観)が形成され、長い海岸線を持つことにもつながっています。(海岸線の延長は約4,300kmで全国第2位)
一方、この狭小な陸域にもかかわらず、雲仙山系や多良山系のように標高1,000mを越えるような山群もそびえています。
また、本県の西岸には黒潮から分かれた暖かい対馬海流が流れ、緯度の割には温暖な気候となっています。さらに、本県はアジア大陸に近接して位置するだけでなく、かつて日本列島が大陸と陸続きの時代の接点があったという地史的特異性もあります。
このような要因によって、分布限界にあたる南方系や北方系の動植物、石灰岩地帯や干潟など特殊な条件に適応する動植物、大陸に起源がある動植物、国境を越えて移動する動物、さらには長崎県のみ確認されている固有の動植物など、特異な動植物が生息・生育しているなど、本県の自然環境、とりわけ植物相は非常に変化に富み、豊かなものになっています。